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Japanische Klassiker mit Furigana

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みなげきゅうじょぎょう

身投げ救助業

菊池 寛

Lesen Sie 身投げ救助業 (みなげきゅうじょぎょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.938 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

だから褒賞の場合の手続などもすこぶる簡単になって、一週で金が下るようになった。政庁の役人は「お婆さんまたやったなあ」と笑いながら、金を渡した。老婆も初めのように感激もしないで、茶店の客から大福の代を貰うように、「おおきに」といいながら受け取った。世間の景気がよくて、二月も三月も投身者のない時には、老婆はなんだか物足らなかった。娘に浴衣地をせびられた時などにも、老婆は今度一円五十銭貰うたらといっていた。その時は六月の末で、例年ならば投身者の多い季であるのに、どうしたのか飛び込む人がなかった。老婆は毎晩娘と枕を並べながら、聞き耳を立てていた。それで十二時頃にもなって、いよいよだめだと思うと「今夜もあかん」というて目を閉じることなどもあった。

老婆は投身者を助けることを非常にいいことだと思っている。だから、よく店の客などと話している時にも「私でも、これで人さんの命をよっぼど助けているさかえ、極楽へ行かれますわ」というていた。むろんそのことを誰も打ち消しはしなかった。

しかし老婆が不満に思うことが、ただ一つあった。それは助けてやった人たちが、あまり老婆に礼をいわないことである。