Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
胸に描きし 赤鷲の
印は われらが 戦闘隊
そこで軽快な、弾むようなリズムから一転して、哀調をおびたルフランがはじまる。
……いさおの かげに 涙あり
ああ いまは亡き もののふの……
ちょうど、そのルフランの切れ目だった。歌声が窓の下に到達した。私は、勢いよく曇りガラスの戸を引きあけ、片手で電燈のかさをもって、それを細い暗い道の、歌の出てくるあたりに向けた。私はびっくりした。歌の主は、色白の、まだ子供みたいな顔の少女だった。すくなくとも私には、彼女はまだ十五六才くらいにしか見えなかった。
でもタマげたのは、もちろんその娘だっただろう。唇を円く肛門のような形にすぼめたまま、娘は、大きく見ひらかれた一重瞼の目で、窓に立った私を一瞬まじまじとみつめた。小さな、おびえたような顔が青白く呼吸をのんで、次の瞬間、それがみるみる上気したように赤く染まるのがわかった。
なにもいわず、娘はすぐ顔を伏せて、全速力で逃げるように走りだした。あわてた靴音が消えて行った。私は笑いだした。
なあんだ、と私は思ったのだ。日本ふうな顔だちの、小柄な首の細い娘で、赤いカーディガンのようなものを着ていた。