Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
が、私はその大チャンを、何故か嘲笑する気にはなれなかった。……私は彼の感傷的な「愛」の確信、でたらめで勝手な彼の狂気に、いささかの軽蔑ももたなかったわけではない。いや、私の中には、彼への嘲笑はたしかに存在していた。しかし、私は大チャンを嘲笑し、大チャンを軽蔑しながら、次第にその大チャンへの劣等感にとらえられはじめたのだ。
私は、それまで自分がだれひとり愛したことがなかったのを、そして、たぶんこれからもだれも愛せそうにもない自分を、ある切実な苦痛とともに意識していた。私は、わざとのように「愛」という言葉を迂回して生きてきた自分を思った。私にとり、「愛」はどうにもならぬ連繋の意識であり、その負担であり、身動きのつかぬ「関係」の別名でしかなかった。私はそれをたのしめたことも、すすんでもとめたこともなかった。すくなくとも、だから私は、「愛」なんてものは無いほうが生きやすいと思っていた。たぶん、まだ幼く、小心だった私は、もっぱら「負担」への嫌悪と恐怖とを生きていたのである。
むろん、私はこれらのことを、そのとき明瞭に意識していたわけではない。私をおそったのは、結局のところ一つの不安であり、いまいましさであった。