Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
だいいち、そんなことはいわぬが花です」
そのころ、大チャンの「愛」は、どうやら夜ごと空中に、「あの人」の姿がおぼろげに浮かぶあたりにまで行っていたのらしい。声の主を見ている私は、大チャンがどんな女性を想像しているのかに興味をもっていたが、彼は言を左右にしていつも逃げた。きっと、イメージを自分ひとりのものにしておきたいんだろう、と私は思った。
ときどき、私は合唱をして彼のご機嫌をとった。私は、大チャンの関心があの歌声から逸れて行くのを、いちばんおそれていたのである。
きさまと俺とは 同期の桜
別れ別れに 散ろうとも
咲いた花なら 散るのは覚悟
同じ梢に 咲いて逢おうよ
二人で手拍子をとって歌いだすと、私にはきまって戦争中のよく晴れた青空が目にうかんできた。その青空にまっすぐな白い航跡を曳いて動いていたB29。疎開先の家でうけた真夏の昼の小型機の銃撃。私は、家族と折り重なって部屋の隅にかたまりながら、もし私に弾丸が命中して死んでも、この皮膚を接している母や姉妹たちは死なないのだ、彼女らにはまた明日がやってくるのだと考え、奇妙な衝撃にとらえられた記憶がある。私が私だけであって、他の人間のだれでもないということ、他の人間のだれにもなれないということ、家族だとか兄妹とか、あらゆる癒着の幻影がじつは錯覚にすぎないこと、それ