Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
その頃は長崎に、支那人の生胆買いがよく居りました。福岡アタリの火葬場にもよくウロウロしおりましたそうで……真夜中でも何でも六神丸の看板を見当てにしてタタキ起しますと、大抵手真似で話が通じましたもので、私は日本語のすこし出来る支那人を引っぱって木賃宿へ帰って来ました。
その支那人は体温計と聴診器を持って来ておりました。私とツン州と二人で感心して見ております前で、約束通りにウンウン呻吟きよる大惣の脈を取って、念入りに診察しますと病人の枕元で談判を初めました。
『この病人は明日の正午頃までしか保たん。死骸を蒲団に包んで私の家に担いで来なさい。高価く買います。私の店はこの頃開いた店じゃケニ高い。ほかの家は皆安い。死骸の片付けも皆して上げます。頭毛も首の骨もチャント取って上げます。生胆のほかに胃腸につながっている小さい青い袋を附けて下されば七円五十銭。それが温い中に持って来なされば十二円五十銭……』
支那坊主は掛値を云うものと思いましたケニ、思い切って大きく吹っかけました。
『イカンイカン。二十五円二十五円。一文も負からん。ほかの処へ持って行く。ほかに知っとる店がイクラでも在る』