Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
ええ気味じゃええ気味じゃ。文句附けに来たら私が出てネジて上げる。心配せずに一杯飲みない。オイ。了念了念。昨夜の般若湯の残りがあろう。ソレソレ。それとあのギスケ煮(博多名産、小魚の煮干)の鑵を、ここへ持って来なさい』
というたような事でホッと一息しました。その寺で大惣に養生をさせまして、それから三人で平戸の塩鯨の取引を初めましたのが運の開け初めで、長崎を根拠にして博多や下関へドンドン荷を廻わすようになりましたが、その資本というたなら、大惣の生胆一つで御座いました。人間、酒と女さえ止めれば、誰でも成功するものと見えますナア。ハハハハ……」
湊屋仁三郎の逸話は、この程度のものならまだまだ無限に在る。仁三郎の一生涯を通ずる日常茶飯が皆、是々的で、一言一行、一挙手一投足、悉く人間味に徹底し、世間味を突抜けている。哲学に迷い、イデオロギイに中毒して、神経衰弱を生命の綱にしている現代の青年が、百年考えても実践出来ない人生の千山万岳をサッサと踏破り、飄々乎として徹底して行くのだから手が附けられない。もしそれ百尺竿頭、百歩を進めた超凡越聖、絶学無造作裡に、上は神仏の頤を蹴放し、下は聖賢の鼻毛を数えるに到っては天魔、鬼神も跣足で逃げ出し、軒の鬼瓦も腹を抱えて転がり落ちるであろう。