Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
頑固一徹な、明治二十年頃まで丁髷を戴いて、民百姓は勿論、朝野の名士を眼下に見下していた漢学者の父、杉山三郎平灌園を説き伏せて隠居させ、一切の世事に関与する事を断念させて自身に家督を相続し、一身上の自由行動の権利を獲得すると同時に、赤手空拳、メクラ滅法の火の玉のようになって実社会に飛出したのが、彼自身の話によると十六歳の時だったというから驚く。大学を卒業してもまだウジウジしていたり、親から月給を貰ってスイートホームを作ったりしている連中とは無論、比較にならない火の玉小僧であった。
その頃、彼の郷里、福岡で、豪傑ゴッコをする者は当然、一人残らず頭山満の率ゆる玄洋社の団中に編入されなければならなかった。だから彼も必然的に頭山満と交を結んで、濛々たる関羽髯を表道具として、玄洋社の事業に参劃し、炭坑の争奪戦に兵站の苦労を引受けたり、有名な品川弥二郎の選挙大干渉に反抗して壮士を指揮したりした。それが彼の二十歳から二十四五歳前後の事であったろうか。
しかし彼は他の玄洋社の諸豪傑連と聊か選を異にしていた。その頃の玄洋社の梁山泊連は皆、頭山満を首領とし偶像として崇拝していた。