Japanische Klassiker mit Furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
従って彼、杉山茂丸は、その上海や香港に於て、東洋人の霊と肉を搾取しつつ鬱積し、醗酵し、糜爛し、毒化しつつ在る強烈な西洋文化のカクテルの中に、所謂白禍の害毒の最も惨烈なものを看取したに違いない。資本主義文化が体現するところの、虚無思想、唯物思想の機構の中に、血も涙も無い無良心な、獣性丸出しの優勝劣敗哲学と、功利道徳の行き止まり状態を発見したに違いない。そうして王政維新後、滔々たる西洋崇拝熱と共に鵜呑みにされて来た、こうした舶来の思想に侵犯され、毒化されて行きつつ在る日本の前途を見て、逸早く寒毛樹立したに違いない。
当時の藩閥と、政党者流の行き方は、正にこの西洋流の優勝劣敗哲学、唯物一点張りの黄金崇拝式功利道徳の顕現であった。外国の政治組織を日本の政体の理想とし、権利義務式の功利道徳、法律的理論を以て日本の国体を論じ合いつつ上下共に怪しまなかった時代であった。
その中に、藩閥にも属せず、政党の真似もしない玄洋社の一派は、依然として頭山満を中心として九州の北隅に蟠まりつつ、依然として旧式の親分乾分、友情、郷党関係の下に、国体擁護、国粋保存の精神を格守しつつ、日に日に欧化し、堕落して行く藩閥と政党を横目に睨んで、これを脅威し、戦慄せしめつつ、無けなしの銭を掻き集めては朝鮮、満蒙等の大陸的工作に憂身を窶して来た。