Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Lesen Sie 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.469 Zeichen · 157 Bildschirme
二人とも或る意味での無学文盲で、日本の地理なぞ無論、知らない。四国がドッチの方角に在るかハッキリ知らないまんまに、それでも人に頭を下げて尋ねる事が二人とも嫌いなまんまに不思議と四国に渡って来たような事だったので、途中で無茶苦茶に道に迷ったのは当然の結果であった。
「オイオイ百姓。高知という処はドッチの方角に当るのか」
「コッチの方角やなモシ」
「ウン。そうか」
と云うなりグングンその方角に行く。野でも山でも構わない式だからたまらない。玄洋社代表は迷わなくても道の方が迷ってしまう。その中に或る深山の谷間を通ったら福岡地方で珍重する忍草が、左右の崖に夥しく密生しているのを発見したので、奈良原到が先ず足を止めた。
「オイ。頭山。忍草が在るぞ。採って行こう」
「ウム。オヤジが喜ぶじゃろう」
というので道を迷っているのも忘れて盛んにり始めたが、その中に日が暮れて来たので気が付いてみると、荷車が一台や二台では運び切れぬ位、採り溜めていた。
「オイ。頭山。これはトテモ持って行けんぞ」
「ウム。チッと多過ぎるのう、帰りに持って行こう」
それから又行くと今度は山道七里ばかりの間人家が一軒も無い処へ来たので、流石の玄洋社代表も腹が減って大いに弱った。