Japanische Klassiker mit Furigana
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きんがんげいしゃとめいきゅうじけん
近眼芸妓と迷宮事件
夢野 久作
Lesen Sie 近眼芸妓と迷宮事件 (きんがんげいしゃとめいきゅうじけん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.490 Zeichen · 23 Bildschirme
何故だかわからないが、メチャメチャになった被害者の顔とか、加害者の若い青白い笑い顔とか、その間に挟まった芸妓のオドオドした近眼とかいうものが、不思議なほどハッキリと眼に残っている。
話の筋道は頗る簡単だがね。ほかの事件と違って何だか、こう考えさせられる深刻な、シンミリしたところがあるように思うんだ。
事の起りは在り来りの殺人事件だった。
飯田町の或る材木屋の主人で、苗字は忘れたが金兵衛という男が、自分の家の材木置場で殺られたんだ。天神様の御縁日の翌る日だったから二十六日だろう。天気のいい朝だったっけが、行ってみると非道い殺され方でね。
五十恰好の禿頭のデップリした親爺で、縞の羽織に前垂、雪駄という、お定まりの町家の旦那風だったが、帽子を冠らないで懐手をしたまま、自分の家の材木置場から、飯田橋の停車場の方へ抜けて行く途中の、鋸屑のフワフワ積った小径の上に、コロリと俯伏せに倒れている……材木の蔭から躍り出た兇漢に、アッという間もなく脳天を喰らわされたんだね。額から眼鼻の間へかけて一直線に石榴みたいにブチ割られて、脳味噌がハミ出している。ちょっと見たところ、出血の量が非常に少ないと思ったが、顔の下の湿った鋸屑を掘ってみると、下の方ほど真黒くドロドロになっている。