Japanische Klassiker mit Furigana
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ついおく
追憶
宮本 百合子
Lesen Sie 追憶 (ついおく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.363 Zeichen · 35 Bildschirme
其れ故彼が自分の死の近いのを感じて生れた国に帰って来たのではなかったかと云う事が思われる。
兎に角彼が皆の驚きの裡に帰って来て間もない日の事であった。
其の時分父が洋行して長い留守中だったので、思い掛けず此の叔父の帰宅した事はどの位私にとって嬉しい事で有ったか分らない。
私は喜びで夢中になった。
そして、朝から晩まで肩にすがったり、手にブラ下ったりしながら、海のむこーに在ると云うまるでお話の様な国の話に聞きほれて居たので、朝からお昼まで学校のかたい机に向って居るために彼と分れなければならないと云う事は実に此上ない悲しい辛い事であった。
私は学校へ行かないと駄々をこねた。
最う知って居る事を習いに学校へ行くよりお叔父ちゃんのお話の方がためになると理屈を並べたけれ共とうとう叔父が学校へ迎に来て呉れると云う約束をして貰って出掛ける事になった。
私は行く道から帰りの事を考えて居た。
そしてそれからの三時間がどれ位ノロノロと馬鹿らしく立って行った事か。
先生のお辞儀が済むと狭い出入口で前の子を押しつける様にして馳け出して見ると、いつも女中の立って居る所に今日は約束通り叔父が笑いながら待って居てくれた。