Japanische Klassiker mit Furigana
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とじょう
途上
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 途上 (とじょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.060 Zeichen · 32 Bildschirme
けれども、もう少しと云うところで今度も細君は助かってしまったのです。夫の心になってみれば、九仞の功を一簣に虧いた、―――とでも云うべきでしょう。そこで、夫は又工夫を凝らしました。これは病気ばかりではいけない、病気以外の災難にも遇わせなければいけない、―――そう考えたので、彼は先ず細君の病室にある瓦斯ストオブを利用しました。その時分細君は大分よくなっていたから、もう看護婦も付いてはいませんでしたが、まだ一週間ぐらいは夫と別の部屋に寝ている必要があったのです。で、夫は或る時偶然にこう云うことを発見しました。―――細君は、夜眠りに就く時は火の用心を慮って瓦斯ストオブを消して寝ること。瓦斯ストオブの栓は、病室から廊下へ出る閾際にあること。細君は夜中に一度便所へ行く習慣があり、そうしてその時には必ずその閾際を通ること。閾際を通る時に、細君は長い寝間着の裾をぞろぞろ引き擦って歩くので、その裾が五度に三度までは必ず瓦斯の栓に触ること。もし瓦斯の栓がもう少し弱かったら、裾が触った場合にそれが弛むに違いないこと。病室は日本間ではあったけれども、建具がシッカリしていて隙間から風が洩らないようになっていること。