Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
とじょうのはんにん
途上の犯人
浜尾 四郎
Lesen Sie 途上の犯人 (とじょうのはんにん) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.477 Zeichen · 38 Bildschirme
「僕はそんな事は有り得ないと思う」
「いや、あるかも知れない。少くも有り得る。少くもないとは云えない!」
彼は断固として云い切った。
ここに至って彼は今やなめくじ男ではない。蛇男でもない。猛虎である。彼は真正面から私に迫って来るのである。実際私もたじたじの形で今更、こんな論題を追った事を後悔した。
「しかし、有り得ると君が云った所で、又ないと僕が断言したところで、つまり水かけ論に終るのだからね。ともかく君の御忠告はあり難く拝聴しておく」
こう云って私は衝突をさけようとした。
相川俊夫はこの時、急に口をつぐんだ。そうして又例の妖気に満ちた顔で私をながめはじめたのである。
私は相手が黙ったので、彼が一寸まいって口をつぐんだと解したため、これ以上の論議を打ち切るために余計な事を云ってしまった。
「だから此の問題はこれ以上進んでも仕方がないのですよ。……一昨夜電車でお目にかかった時、今日のように名乗って下されば、うちででもお話が出来たのですが残念でしたね」
私は論議打ち切りの印のつもりでこう云いながら、傍の雑誌を手にとった。
しかるに、彼は又々執拗に迫って来た。