Japanische Klassiker mit Furigana
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うんめいろんしゃ
運命論者
国木田 独歩
Lesen Sie 運命論者 (うんめいろんしゃ) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.357 Zeichen · 34 Bildschirme
それは夜の九時頃になると、養母は其居間に籠って了い、不動明王を一心不乱に拝むことで、口に何ごとか念じつゝ床の間にかけた火炎の像の前に礼拝して十時となり十一時となり、時には夜半過に及ぶのです、居間の中、沈欝いで居た晩は殊にこれが激しいようでした。
僕も始めは黙って居ましたが、余り妙なので或日このことを里子に訊ねると、里子は手を振って声を潜め、『黙って居らっしゃいよ。あれは二年前から初めたので、あのことを母に話すと母は大変気嫌を悪くしますから、成るべく知らん顔して居たほうが可いんですよ。御覧なさい全然狂気でしょう。』と別に気にもかけぬ様なので、僕も強ては問いもしなかったのです。
けれども其後一月もして或日、僕は事務所から帰り、夜食を終て雑談して居ると、養母は突然、
『怨霊というものは何年経ても消えないものだろうか。』と問いました。すると里子は平気で、
『怨霊なんて有るもんじゃアないわ。』と一言で打消そうとすると、母は向になって、
『生意気を言いなさんな。お前見たことはあるまい。だからそんなことを言うのだ。』
『そんなら母上は見て?』
『見ましたとも。』
『オヤそう、如何な顔をして居て? 私も見たいものだ。