Japanische Klassiker mit Furigana
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どうじょうじ(ひとまくげき)
道成寺(一幕劇)
郡 虎彦
Lesen Sie 道成寺(一幕劇) (どうじょうじ(ひとまくげき)) von 郡 虎彦 (こおりとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.256 Zeichen · 30 Bildschirme
物を言えば物を言うで、二人とも歯と歯の打ち合う音ばかり高くきこえて、常とは似つかぬ自分の慄え声が、何ぞに乗りつかれでもしはせぬかと思う怖ろしさに、言いたいことも言わぬうち、われと口を噤んでしまうのよ。するとまた、お互いに出し入れの息の音が、怪しい物の地をなめずる音のようにもきこえて来る、明るみが恐ろしさにあの藪の蔭へ寄って行けば、何がひそんでいるかも見えぬ灰色のくらやみが、上から上から数知れぬ指を慄わしてざわめくじゃないか。その上に時々吹きあてる風の音が――
妙源 (最前より四辺を顧※したりしが唐突に)そんな話はよさぬかい、やくたいもない。
間。
妙海 (また同じ調子をつづけて)言い合わしもせぬうちに、ここへ来れば和主がいると思って、二人とも黙ったままかけ上って来たのだが、ほんとにこんなところにいては考えにも及ばぬ恐ろしさだ。
妙信 山門の傍ばかりが恐ろしいにきまったことかい、何よりもこの鐘に悪霊の呪いがかかっているのじゃないか。こうしてまっ黒な口をあけながら物も言わぬ形を見ているうちには、さっきまでなりひびいた声より幾倍か恐ろしい邪婬の呻きが、煙のような渦をまいてあの洞からきこえてくるわ。