Japanische Klassiker mit Furigana
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どうそもんどう
道祖問答
Lesen Sie 道祖問答 (どうそもんどう) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.227 Zeichen · 5 Bildschirme
朦朧とはしながらも、烏帽子の紐を長くむすび下げた物ごしは満更狐狸の変化とも思われない。殊に黄色い紙を張った扇を持っているのが、灯の暗いにも関らず気高くはっきりと眺められた。
「翁とは何の翁じゃ。」
「おう、翁とばかりでは御合点まいるまい。ありようは、五条の道祖神でござる。」
「その道祖神が、何としてこれへ見えた。」
「御経を承わり申した嬉しさに、せめて一語なりとも御礼申そうとて、罷り出たのでござる。」
阿闍梨は不審らしく眉をよせた。
「道命が法華経を読み奉るのは、常の事じゃ。今宵に限った事ではない。」
「されば。」
道祖神は、ちょいと語を切って、種々たる黄髪の頭を、懶げに傾けながら不相変呟くような、かすかな声で、
「清くて読み奉らるる時には、上は梵天帝釈より下は恒河沙の諸仏菩薩まで、悉く聴聞せらるるものでござる。よって翁は下賤の悲しさに、御身近うまいる事もかない申さぬ。今宵は――」と云いかけながら、急に皮肉な調子になって、「今宵は、御行水も遊ばされず、且つ女人の肌に触れられての御誦経でござれば、諸々の仏神も不浄を忌んで、このあたりへは現ぜられぬげに見え申した。