Japanische Klassiker mit Furigana
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ちがうへいはちろう
違う平八郎
山本 周五郎
Lesen Sie 違う平八郎 (ちがうへいはちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.142 Zeichen · 27 Bildschirme
直ちに兵を纒めて御帰国遊ばしませ」
「なに、帰れと云うか」
「近江の浅井長政が旗挙を致しました」
「…………」
「六角義賢も共に上様の退路を截って、越前軍と挾撃の策をめぐらせて居ります」
信長はさっと顔色を変えた。浅井長政とは姻籍関係にある、即ち長政の妻は信長の妹であった。それ許りでなく両者は国境を接して常に唇歯輔車の好を保って来ていたので、この突然の警報は遉の信長をも愕然とさせた。
金崎、手筒は屠っても朝倉義景はまだ一乗谷に拠って、隙あらば反撃しようと牙を研いでいる。此処で若し浅井、六角が背後に起つとすれば織田軍の運命は逆賭し難きものになろう。信長は即座に心を決めた。
「宜し、潔く退陣しよう」
と床几から立つ。
「池田、木下、柴田、佐久間を呼べ」
「――上様」
お寧々は退ろうとしながら、
「平八郎殿は御無事でございますか」
「平八……」
信長は振返ったが、
「そうか、お寧々は平八に会いたくて来たのだな、余の軍を気遣って来たと申したのは嘘だったのか、ふといやつめ」
「勿体ない、さ、左様なことが……」
艶やかに匂うような汗の浮いた顔がさっと赤く染った。
――信長は笑って、