Japanische Klassiker mit Furigana
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とおいねがい
遠い願い
宮本 百合子
Lesen Sie 遠い願い (とおいねがい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.468 Zeichen · 5 Bildschirme
か。時を経ても、作家というものは自分の作品について心に刻みこまれた評言の切れ端だって忘れてしまうことはないのだから、何につけ彼につけ、その印刻は心のなかで揉まれほぐされ吟味されつづけて、その無言内奥の作業の果、遂に作家が明らかな確信をもって批評を評価しきったとき、はじめてその批評は心のそとに忘られてゆくのだと思う。そのときは、作家にとってその批評から学ぶべきものが十分心に吸収されてしまったか、さもなければその批評を加えたひとの人生態度に迄せまって作家としての批評を加え終ったときか、或は、その批評のくいちがいそのものの間から、批評したひとの全然知らない別の何ものかを、作家がわが芸術の糧としてひき出したかしたときなのである。
ひところ文芸評論の萎靡が人々の注目をひいて、文芸雑誌はそのために関心を示した。文芸評論が再び興隆したという意味とはちがう形で、その頃文学の領域には議論が盛だと思う。随分議論だらけである。けれども、作家と時代とのいきさつを、本当に大局からみて、歴史の足どりがその爪先を向けている磁力の方向と、その関連に於て作家一人一人がそれなしに文学は創造もされず存在もしない個々の独自、必然な道をどう見出して行くかということについて、何となし遠く大きい見とおしのあることを感じさせる議論は、割合に多くない。