Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
――それでつい又わけもない話をはじめる。
「失礼ですが、君は学校はどちらです?」私は風采から推して大方、日本大学の法律科とでも言うかと思っていると、
「学校ですか? 学校は早稲田の文科です。」
と言う。
「あ、そうですか、いつ御卒業です?」
「来年の春です。」
「じゃ、もうおいそがしいですね。」
「え、え。」
話は又ぽつりと絶えてしまう。二人ともまじまじしている。私は、とうとう手持ち無沙汰に困まってしまって、何かなしに手を拍って、お八重を呼んだ。ばたばたはしゃいだ足音がして、入って来て二人の顔を見ると、お八重は急にきょとんとした顔をして、膝をついたまま黙っている。
「おい、何か持って来ないか。」私は腹の中で笑いたかったが、ちょっと場合が変なので、強いてそれを押さえ付けてこう言うと、
「へえ?」
いつになく、お八重は見当のつかぬ顔をする。
「何かを、持って来るんだよ、何だそんな面をして!」
「だって、あなた達の方がおかしいわ、にらみっくらしてるじゃありませんか。」女は心からこう言った。
「まあいいから、早く持って来い!」と言って、私は荻原の方を向きなおると、
「僕は九州で育ったもんですからね。