Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
その年の十二月半ばころ、私はやっと道が開けてA新聞の記者に採用された。それでいろいろな便宜上、もう一つは、もうドライな下宿生活には、心底、おぞげをふるって、いやになったので、麹町の方に小さな一軒を借りることにして、引き移った。
すると、荻原は始終私の家へ入り浸りに来ていた。ところが或る晩、新聞社から帰って見ると、相変らず、留守の婆やをつかまえて、話し込んでいるから、
「今日も相変らずだね。」
と言うと、
「や、急がしいのですか。」
と言って臆病らしい目付きをする。
「いそがしいさ、君も働かなくっちゃいけないよ。」私は何気なく言ったのだが、荻原は何かひどく、気に触わったと見えて、急に帰ってしまった。
それからぱったり来なくなった。こっちも仕事に逐われて、いつの間にか一と月許りは経ってしまった。……ちょうど二月の中頃にもなっていた。或る晩のこと、もう夜の十一時すぎだ。私は新着のエコノミストをひっくりかえしていると、その時に玄関があわただしく開いた。よほど急いで来たらしい人の気配だ。はてなと思って、聞き耳を立てると、その儘案内もなく、すっと障子を開けて上って来る。