Japanische Klassiker mit Furigana
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いあいしゅう
遺愛集
島 秋人
Lesen Sie 遺愛集 (いあいしゅう) von 島 秋人 (しまあきと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.488 Zeichen · 102 Bildschirme
信じ得ぬ思ひに見つむ獄庭の朝顔の花ピンクに咲きて
新聞を配りゐし頃なつかしみ朝顔の咲く獄庭をみつめし
葉の影にひっそり咲ける朝顔の紅のいのちは夕までたもつ
老看守まともに笑顔みせくるるうたがはれぬ日のわれはうれしも
帰りえぬ身となりはてて蝉のこゑ聞きし日のこと日記にのこす
昏れ方の虫の音ききつつ老い父のひと日の疲れ獄におもふ
賜れど分つ人なし獄の夜ふたつの梨を並べ置き寝る
仰向きに寝ては病む身に聴きをりぬ土うつ雨の冷き音を
台風のあとやはらかく陽のさして朝顔の花はあわれ咲きたり
一匹のあきつの飛ぶに死囚われ愛しきまでに子のころ憶ふ
今宵より夜間筆記の許されて自由得しごとくうれしくてならぬ
いつしかに畳に朝日さすほどに秋となりゐき死刑因の部屋
金網に触るる位置までより添ひて受くる秋陽はまみにまぶしき
たどりきて寝返りうちぬ死刑囚の憶ひの内に母の死があり
甘ゆべき母のなき獄青布の夜具をかぶりて悲しみに耐ふ
母のなきわれは亡母恋ひ夜を更かし獄に遠き汽笛ききたり
老い父に刑死の後のかなしみを詫びつつ冴えし虫の音聴きゐる
仲秋の月を見たくて獄窓の曇ガラスを濡らし拭きたり
月させどわが獄窓はみな磨ガラス濡らして拭けば光やや増す