Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いあいしゅう

遺愛集

島 秋人

Lesen Sie 遺愛集 (いあいしゅう) von 島 秋人 (しまあきと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.488 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

幼児にもどりし如きおもひしてちひさき事に笑む日の愛し

笑むほかの幸ひあらず独り笑み刑死の迫るいのち愛しむ

欲しきもの少くなりて囚身の眠りは深く覚めて愛しむ

こころよく眠り得し夜の晴れて明け獄窓よりみたり紅ばらの群

極悪事詫びつつなほも愛しみは日日にあふるる自戒を超えて

余命なる生きを愛しみ獄更け足らぬ自戒と詫びて眠りぬ

生きの日の素直を悟りて伝ひゆく涙は微笑むほほに愛しき

ほめられし事くり返し憶ひつつ身に幸多き死囚と悟りぬ

愛ほしむ憶ひにふいと良き人の名の生れ出づる独りの獄に

ためらふに問ひ悲しみぬ死後の眼を欲しきにやれぬ死囚の死なり

許さるる事なく死ぬ身よきことのひとつをしきりと成して逝きたし

双手振り歩み初めし児を獄窓のかなあみの日のひとつにみたり

つばさのみ白き子すずめ幾度と獄窓近く来て白と名の付く

初蝉を独りききたる獄の小夜久々の雨通り降りたり

蝉のこゑききつつ愛し強ひられて生き来し事を幸としてゐて

一匹のみんみん蝉のこゑききつ罪あらぬ日の憶ひ愛しむ

帰りえぬ故に愛しく日の昏れのかなあみ獄窓に法師蝉きく

十円の切手二枚と替へ得たるアイスクリームの冷きに笑む

生れ来しいのち愛しむ夜の更けを亡母に添ふごとうつぶせに眠る