Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じゃしゅうもん
邪宗門
Lesen Sie 邪宗門 (じゃしゅうもん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.184 Zeichen · 79 Bildschirme
」と、仰有ったものでございます。その時の大殿様の御機嫌の悪さと申しましたら、今にも御手の扇が上って、御折檻くらいは御加えになろうかと、私ども一同が胆を冷すほどでございましたが、それでも若殿様は晴々と、美しい歯を見せて御笑いになりながら、
「父上、父上、そう御腹立ち遊ばすな。牛飼めもあの通り、恐れ入って居るようでございます。この後とも精々心にかけましたら、今度こそは立派に人一人轢き殺して、父上の御名誉を震旦までも伝える事でございましょう。」と、素知らぬ顔で仰有ったものでございますから、大殿様もとうとう我を御折りになったと見えて、苦い顔をなすったまま、何事もなく御立ちになってしまいました。
こう云う御間がらでございましたから、大殿様の御臨終を、じっと御目守りになっていらっしゃる若殿様の御姿ほど、私どもの心の上に不思議な影を宿したものはございません。今でもその時の事を考えますと、まるで磨ぎすました焼刃のいを嗅ぐような、身にしみてひやりとする、と同時にまた何となく頼もしい、妙な心もちが致した事は、先刻もう御耳に入れて置きました。誠にその時の私どもには、心から御代替りがしたと云う気が、――それも御屋形の中ばかりでなく、一天下にさす日影が、急に南から北へふり変ったような、慌しい気が致したのでございます。