Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じゃしゅうもん
邪宗門
Lesen Sie 邪宗門 (じゃしゅうもん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.184 Zeichen · 79 Bildschirme
」
私が不審そうにこう尋ねますと、私の甥はあたかも他聞を憚るように、梅の青葉の影がさして居る部屋の前後へ目をくばりながら、私の耳へ口を附けて、
「どうすると云うて、ほかに仕方のある筈がありません。夜更けにでも、そっと四条河原へ忍んで行って、あの沙門の息の根を止めてしまうばかりです。」
これにはさすがの私もしばらくの間は呆れ果てて、二の句をつぐ事さえ忘れて居りましたが、甥は若い者らしい、一図に思いつめた調子で、
「何、高があの通りの乞食法師です。たとい加勢の二三人はあろうとも、仕止めるのに造作はありますまい。」
「が、それはどうもちと無法なようじゃ。成程あの摩利信乃法師は邪宗門を拡めては歩いて居ようが、そのほかには何一つ罪らしい罪も犯して居らぬ。さればあの沙門を殺すのは、云わば無辜を殺すとでも申そう。――」
「いや、理窟はどうでもつくものです。それよりももしあの沙門が、例の天上皇帝の力か何か藉りて、殿様や姫君を呪うような事があったとして御覧なさい。叔父さん始め私まで、こうして禄を頂いている甲斐がないじゃありませんか。」
私の甥は顔を火照らせながら、どこまでもこう弁じつづけて、私などの申す事には、とんと耳を藉しそうな気色さえもございません。