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Japanische Klassiker mit Furigana

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じゃしゅうもん

邪宗門

芥川 竜之介

Lesen Sie 邪宗門 (じゃしゅうもん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.184 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

殊にその煙の末が、所斑な天の川と一つでいるのを眺めますと、どうやら数え切れない星屑が、洛中の天を傾けて、一尺ずつ一寸ずつ、辷る音まではっきりと聞きとれそうに思われました。

その中に私の甥は、兼ねて目星をつけて置いたのでございましょう、加茂川の細い流れに臨んでいる、菰だれの小屋の一つを指さしますと、河原蓬の中に立ったまま、私の方をふり向きまして、「あれです。」と、一言申しました。折からあの焚き捨てた芥火が、まだ焔の舌を吐いているそのかすかな光に透かして見ますと、小屋はどれよりも小さいくらいで、竹の柱も古蓆の屋根も隣近所と変りはございませんが、それでもその屋根の上には、木の枝を組んだ十文字の標が、夜目にもいかめしく立って居ります。

「あれか。」

私は覚束ない声を出して、何と云う事もなくこう問い返しました。実際その時の私には、まだ摩利信乃法師を殺そうとも、殺すまいとも、はっきりした決断がつかずにいたのでございます。が、そう云う内にも私の甥が、今度はふり向くらしい容子もなく、じっとその小屋を見守りながら、

「そうです。」と、素っ気なく答える声を聞きますと、愈太刀へ血をあやす時が来たと云う、何とも云いようのない心もちで、思わず総身がわななきました。