Japanische Klassiker mit Furigana
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ごうすけほうし
郷介法師
国枝 史郎
Lesen Sie 郷介法師 (ごうすけほうし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.163 Zeichen · 21 Bildschirme
「金に積ってなんぼ稼いだな?」
「たんともない、五千両ばかりよ」
「それだけの人数で五千両か」
「大きな事を云う坊主だ」
「それだけ皆置いて行け」
「何を!」と始めて頭目はその眼にキラキラと殺気を見せたが、
「ははあこいつ狂人だな」
「五千両みんな置いて行け」
法師は平然と云った。自信に充ちた態度である。嘲笑うような声音である。
3
「こいついよいよ狂人だ。俺達を何者と思っているか!」
「俺は知らぬ。知る必要もない」
「一体貴様は何者だ?」
「見られる通りの乞食坊主さ」
「そうではあるまい。そんなはずはない」
賊の頭目は相手の様子に少なからず興味を感じたらしく、
「名を宣れ。身分を宣れ」
「俺はな」と法師は物憂そうに、
「幸と云おうか不幸と云おうか、忘れ物をして来たよ」
「忘れ物をした? それは何だ?」
「磔柱だ。磔柱だよ」
賊共はにわかにざわめいた。それから森然と静まった。
賊の頭目は眼を見張ったが、やがてポンと手を拍った。
「ははあ左様か。そうであったか。磔柱の郷介法師か」
「ところでお主何者かな?」
「私は五右衛門だ。石川五右衛門だ」
すると今度は法師の方でポンとばかりに手を拍った。