Japanische Klassiker mit Furigana
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さけのついおく
酒の追憶
Lesen Sie 酒の追憶 (さけのついおく) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.870 Zeichen · 14 Bildschirme
あんな小さい盃で二、三杯でも、もはやそのような騒ぎなのだから、コップ酒、茶碗酒などに到っては、まさしく新聞だねの大事件であったようである。これは新派の芝居のクライマックスによく利用せられていて、
「ねえさん! 飲ませて! たのむわ!」
と、色男とわかれた若い芸者は、お酒のはいっているお茶碗を持って身悶えする。ねえさん芸者そうはさせじと、その茶碗を取り上げようと、これまた身悶えして、
「わかる、小梅さん、気持はわかる、だけど駄目。茶碗酒の荒事なんて、あなた、私を殺してからお飲み。」
そうして二人は、相擁して泣くのである。そうしてその狂言では、このへんが一ばん手に汗を握らせる、戦慄と興奮の場面になっているのである。
これが、ひや酒となると、尚いっそう凄惨な場面になるのである。うなだれている番頭は、顔を挙げ、お内儀のほうに少しく膝をすすめて、声ひそめ、
「申し上げてもよろしゅうございますか。」
と言う。何やら意を決したもののようである。
「ああ、いいとも。何でも言っておくれ。どうせ私は、あれの事には、呆れはてているのだから。」
若旦那の不行跡に就いて、その母と、その店の番頭が心配している場面のようである。