Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じゅうきちひょうりゅうきぶん
重吉漂流紀聞
久生 十蘭
Lesen Sie 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.456 Zeichen · 52 Bildschirme
いちど悪因縁を背負いこむと、かならず後をひくものだから、二度と他人に迷惑をかけまいためだ。おぬしが本当の船頭なら、他人の迷惑を思い、あの時、われら二人だけをこの船に移し、自分は督乗丸に残らねばならぬところだ。それが船頭の義理というものだ」
半兵衛はうなずいて、
「音七ぬしの言うことも理窟がある。かねておれもそれを気にしていた。そなたはお船頭の扱いで、栄耀をしているから気がつかなかったろうが、この船の水夫どもは、わしらが乗ったのを縁起悪がり、ちょっと甲板に出れば、後から蹴る、棒切を投げつける、突っころばすやら水をかけるやら、この間などは、控綱に触ったというばかりに、猫吊しにして海へ投げそうにした。そういうわけだから、難船ともなれば、このままにはしておくまい。こうして一度は助けられたが、今夜あたりがこの世の終り。こんな東のはずれの、異国の海へ投げ込まれるくらいなら、伊豆の衆といっしょに死んでいればよかった」
音七は焦立って、
「半兵衛ぬし、その愁嘆面はいらぬことだ。いったいこの難船は、お船頭の横着から起ったことゆえ、重吉ぬしが死ねばとて、わしらが死なねばならぬわけはない。