Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうきちひょうりゅうきぶん
重吉漂流紀聞
久生 十蘭
Lesen Sie 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.456 Zeichen · 52 Bildschirme
船のおもだった者が十人ばかり着船の挨拶に出かけるということで、それといっしょに行くことにしたが、差紙のおもてには、羽織袴で来いと書いてあるというので、大急ぎで月代をし、草履がないので、ありあう苧をほどいて草履をつくり、迎いの端舟に乗って陸にあがった。
桟橋の袂の船屋敷で待っていると、黒毛の筒帽に革の背負い嚢を肩に掛け、鉄砲を担いだ雲をつくような大男が二人やって来て、重吉の左右に附添って雪の坂道をのぼりだした。これはコザクといって、鉄砲方の足軽というような身分のものだということであった。
うねうねの雪の坂道をしばらく行くと、大きな石の門がある。道の両側にコザクが十二人ずつ道路を挾んで向きあって立っている。そのうちの十人は鉄砲を担ぎ、二人は抜き身の剣を逆手に持っていた。重吉がその間を通りかけると、コザクが声を合せて、
「ヨイヨイ、ヨーイ」
と囃した。
そこからまたすこし上ると、二つ目の門がある。ここでも囃された。あとで聞くと、身分のある人を迎えるときにかぎってするということであった。
邸の門の内は石畳の広い中庭になり、三段ばかり石段をあがって役所の中に入った。