Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうびょうしつにっし
重病室日誌
北条 民雄
Lesen Sie 重病室日誌 (じゅうびょうしつにっし) von 北条 民雄 (ほうじょうたみお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.745 Zeichen · 14 Bildschirme
と答へることも出来るし、また凡ての問に対して「いいえ」とも答へられさうで、そんなら俺はどんな男だらうと考へて行くと、もう結局さつぱり判らなくなつてたうとう書けず、氏が舎までわざわざ答案を取りに来られたのであわてて、はいとか、いいえとか答へて置いたものである。甚だ申訳ないがかなりいいかげんになつてしまつた。といふよりも全くいいかげんになつてしまふよりどうしやうもなかつた。もつともこれは患者全体の向性指数を出すのだから、自分一人くらゐどうでもいいのに違ひないと思つて安心した。はい、いいえ、と明瞭に返答の出来るほど自分が信用出来たらどんなによいだらう、などと思ふ。ひどく嫌な気持になつたので、こんな時は歩くのに限ると思つて廊下をぐるぐる散歩する。五号に入室してゐるNを見舞つてやらうかと思ひ出したが、やめる。一夜のうちに盲目になつた二十二歳の青年の前に出て見るがいい、また例の芝居をうつに定つてゐるのだ。芝居をうたなければ黙つて相手を見てゐるか、からかつてやるかのどつちかだ。からかふのなぞ嫌だとすれば黙つてゐるばかり、黙つてゐるくらゐなら廊下を歩きながら黙つてNのことを考へてゐてやる方が正直だ。