Japanische Klassiker mit Furigana
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のざらし
野ざらし
豊島 与志雄
Lesen Sie 野ざらし (のざらし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.100 Zeichen · 39 Bildschirme
」
何故かそこで禎輔がぷつりと言葉を途切らした。然し昌作はその皮肉な語気からして、流刑人の行く処だというような意味合を感じた。そして慌てて弁解し初めた。
「いえ、九州だからどうのこうのと云うんじゃありません。ただ、自分の気持に引掛っていることがありますので、それを……。」
「まあどうでもいいさ。」と禎輔は上から押被せた。「誰にでもいろんな引掛りはあるものだよ。ゆっくり考え給い。時枝君の方へはいいように云っとくから。」
そして彼は一変して急に真面目な眼色で、昌作の顔をじっと見つめた。昌作は眼を外らして次の言葉を待った。然し禎輔は何とも云わなかった。ふいに立上って柱時計を眺めた。
「もう八時だ。僕は一寸急な用があるから出掛けるよ。ゆっくりしていき給い。じきに帰るから。」
「何処へいらっしゃるの?」と達子が驚いたように彼を見上げた。
「会社の用で上田君に逢うことになってるのを忘れていた。なに一寸逢いさえすればいいんだ。」
そして彼は羽織だけを着換えて、無雑作に出かけていった。玄関で一瞬間立止って、何やら考えてるらしかった。がそのまま黙って表へ出た。
昌作は達子の後について茶の間へ戻ったが、何だか急に薄ら寒い気持になった。