Japanische Klassiker mit Furigana
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のがみやえこさまへ
野上弥生子様へ
宮本 百合子
Lesen Sie 野上弥生子様へ (のがみやえこさまへ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.363 Zeichen · 5 Bildschirme
若し、私の貧しい洞察が許されるならば、その取材の変化は、貴女が芸術家としての内容を拡大させ、視野を広めて行かれようとする勇ましい努力の暗示であり、失敗は、それに伴わなかった、同じ内的な他の何ものかを暗示しているのではございますまいか。
自分は臆測に成ることを恐れます。が、「我等の道の為」という、敬虔なフランクネスは御解り下さいますでしょう。
「助教授Bの幸福」の中には、貴女が一個の芸術家として自己を御認めになりながら、一方では、人間的興味、感動による観察、表現よりも、もっと心理的に直接な、本能的潔癖に触れた、というような心持を感じます。或る種の神経質と厳さが浮いて、作者の全人格の流露した芸術品の持つべき、云いようのない朗かさ、透徹性を欠いているように感ぜられるのでございます。けれども一方「盧生の夢」に於て、現世的虚偽な価値観念を打破り、異った場所と時代に於て、助教授Bを存在させている人生の半面に真実な意味での幻滅を感じ、感じさせようとなさった時、そこには余り多量に「物語」の雰囲気がございました。読者は、物語られた事象に対する、作者の人、及び芸術家としての真摯な評価的態度を直覚するより、先ず、物語りを語り愉む、作者の長閑さを第一に感じます。