Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

自分もいまさらのごとくわが不注意であったことが悔いられる。医師はそのうち帰ってしまわれた。

近所の人々が来てくれる。親類の者も寄ってくる。来る人ごとに同じように顛末を問われる。妻は人のたずねに答えないのも苦しく、答えるのはなおさら苦しい。もちろん問う人も義理で問うのであるから深くは問いもせぬけれど、妻はたまらなくなって、

「今夜わたしはあなたとふたりきりでこの子の番をしたい」

といいだす。自分はそうもいくまいがとにかくここへは置けない。奥へ床を移さねばならぬといって、奥の床の前へ席を替えさした。枕上に経机を据え、線香を立てた。奈々子は死に顔美しく真に眠ってるようである。線香を立てて死人扱いをするのがかあいそうでならないけれど、線香を立てないのも無情のように思われて、線香は立てた。それでも燈明を上げたらという親戚の助言は聞かなかった。まだこの世の人でないとはどうしても思われないから、燈明を上げるだけは今夜の十二時過ぎからにしてといった。

親戚の妻女だれかれも通夜に来てくれた。平生愛想笑いをする癖が、悔やみ言葉の間に出るのをしいてかみ殺すのが苦しそうであった。