Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
涙の顔を拭おうともせず、唇を固く結んで頭を下げている。母もかわいそうになって眼は潤んでいる。
「省作の家にしろ家にしろ、深田への手前秋葉への手前、お前たちの淫奔を許しては第一家の面目が立たない。今度の斎藤に対しても実に面目もない事でないか。お前たち二人は好いた同士でそれでえいにしても、親兄弟の迷惑をどうする気か、おとよ、お前は二人さえよければ親兄弟などはどうでもえいと思うのか。できた事は仕方ないとしても、どうしてそれが改めてくれられない。省作への義理があろうけれど、それは人をもって話のしようはいくらもある。これまでは親兄弟に対してよく筋道の立ってたお前、このくらいの道理の聞き判らないお前ではなかったに、どうもおれには不思議でなんねい。おれはよんべちっとも寝なかった」
こう言って父も思い迫ったごとく眼に涙を浮かべた。母はとうから涙を拭うている。おとよはもとより苦痛に身をささえかねている。
「それもこれもお前が心一つを取り直しさえすれば、おまえの運はもちろん、家の面目も潰さずに済むというものだ。省作とてお前がなければまたえい所へも養子に行けよう。万方都合よくなるではないか。