Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
お千代が一緒というので無造作に両親の許しが出る。
かねて信心する養安寺村の蛇王権現にお詣りをして、帰りに北の幸谷なるお千代の里へ廻り、晩くなれば里に一宿してくるというに、お千代の計らいがあるのである。
その日は朝も早めに起き、二人して朝の事一通りを片づけ、互いに髪を結い合う。おとよといっしょというのでお千代も娘作りになる。同じ銀杏返し同じ袷小袖に帯もやや似寄った友禅縮緬、黒の絹張りの傘もそろいの色であった。緋の蹴出しに裾端折って二人が庭に降りた時には、きらつく天気に映って俄かにそこら明るくなった。
久しぶりでおとよも曇りのない笑いを見せながら、なお何となし控え目に内輪なるは、いささか気が咎むるゆえであろう。
籠を出た鳥の二人は道々何を見ても面白そうだ。道ばたの家に天竺牡丹がある、立ち留って見る。霧島が咲いてる、立ち留って見る。西洋草花がある、また立ち留って見る。お千代は苦も荷もなく暢気だ。
「おとよさん、これ見たえま、おとよさんてば、このきれいな花見たえま」
お千代は花さえ見れば、そこに立ち留って面白がる。そうしてはおとよさん見たえまを繰り返す。