Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
「省さん、蛇王様はなで皹の神様でしょうか」
「なでだか神様のこたあ私にゃわかんねい」
「それじゃ蛇王様は皹の事ばかり拝む神様かしら」
「そりゃ神様だもの、拝めば何でも御利益があるさ」
「なんでも手足がなおれば、足袋なり手袋なりこしらえて上げるんだそうよ、ねい省さん」
「さっきの爺さんはたいへん御利益があるっていったねい」
三人は罪のない話をしながらいつか蛇王権現の前へくる。それでも三人はすこぶる真面目に祈願をこめて再び池の囲りを駆け廻りつつ愉快に愉快にとうとう日も横日になった。
十一
東金町の中ほどから北後ろの岡へ、少しく経上がった所に一区をなせる勝地がある。三方岡を囲らし、厚硝子の大鏡をほうり出したような三角形の小湖水を中にして、寺あり学校あり、農家も多く旅舎もある。夕照りうららかな四囲の若葉をその水面に写し、湖心寂然として人世以外に別天地の意味を湛えている。
この小湖には俗な名がついている、俗な名を言えば清地を汚すの感がある。湖水を挟んで相対している二つの古刹は、東岡なるを済福寺とかいう。神々しい松杉の古樹、森高く立ちこめて、堂塔を掩うて尊い。