Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
「そうかしら、なんだか知らないけど、ばかに腰が痛いや。ばかばかしいな百姓は」
「百姓がばかばかしいて、百姓の子が百姓しねいでどうするつもりかい。あの藤吉や五郎助を見なさい。百姓なんどつまらないって飛び出したはよいけど、あのざまを見なさい」
省作がそりゃあんまりだ、藤吉の野郎や五郎助といっしょにするのはひどい、というのを耳にもとめずに台所の方へいってしまった。
冷ややかな空気に触れ、つめたい井戸水に顔を洗って、省作もようやく生気づいた。いくらかからだがしっかりしてきはきたが、まだ痛いことは痛い。起きないうちはわからなかったが、起きて歩いて見ると股根が非常に痛む。とても直立しては歩けない。省作はようやくのことよちよち腰をまげつつ歩いて井戸ばたへ出たくらいだ。下女のおはまがそっと横目に見てくすっと笑ってる。
「このあまっこめ、早く飯をくわせる工夫でもしろ……」
「稲刈りにもまれて、からだが痛いからって、わしおこったってしようがないや、ハハハハハハ」
「ばかア手前に用はねい……」
省作はこれで今日は稲が刈れるかしらと思うほど、五体がみしみしするけれど、下女にまで笑われるくらいだから、母にこそ口説いたものの、ほかのものには決して痛いなどと言わない。