Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

おはまのやつが省作さんに気があるからおかしいやというようなのも聞こえる。おはまはじろり悪口いう方を見たがだれだかわからなかった。おとよさんは、どういう心持ちかただだまってうつむいたままわき目も振らずに歩いてる。姉は突然、

「おとよさん、家ではおかげで明後日刈り上げになります。隣ではいつ……」

「わたしとこでもあさって……」

「家ではね、餅だというのを、ようよう鮓にすることになりました。おとよさんとこは何」

「わたしとこでは餅だそうです。わたし餅はきらい」

「それじゃおとよさん、明後日は家へおいでなさいよ」

「それだら省さんがお隣へ餅をたべにいっておとよさんが家へ鮓をたべにくるとえいや」

こういうのはおはまだ。

「朝っぱらから食うことばかりいってやがらア」

そういって兄は背負うたスガイ藁を右の肩から左の肩へ移した。隣のお袋と満蔵とはどんなおもしろい話をしてかしきりに高笑いをする。清さんはチンチンと手鼻をかんでちょこちょこ歩きをする。おとよさんは不興な顔をして横目に見るのである。

今年の稲の出来は三、四年以来の作だ。三十俵つけ一まちにまとまった田に一草の晩稲を作ってある。