Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
知らず知らずだれの目もおとよさんにあつまる。
顎のあたりゆたかに艶よきおとよさんの顔は、どことなく重みがあった。随分おしゃべりな政さんなぞも、陰でこそかれこれ茶かしたようなことを言っても、面と向かってはすっかりてれてしまって戯言一つ言えない。おはまは先におとよさんが省作に気があるというのを聞いて、自分がおとよさんと一層近しくなったような心持ちで、おとよさんの膝にすり寄っておとよさんの顔を見上げている。省作はわざと輪からはずれて立って芋をたべてる。政さんはしきりにおとよさんの方をぬすみ見て、おとよさんが省作に対する動作に何物かを発見せんとつとめているけれど、政さんなんかに気取られるようなそんな浅々しいおとよさんではない。おとよさんは省作へはちらと目をくばる様子もない。やがておとよさんは、今夜は早く風呂ができるから入りに来てくれるようにと、お祖母さんはじめみんなへ言うて帰った。
昼過ぎても雨はやまない。満蔵は六斗の米を搗き上げてしまって遊びに出た。あとは昼前の通りへ清さんも藁を持ってやってきた。清さんがきて見れば、もうおとよさんのうわさもできない。おはまを相手に政さんがらちもなき事をしゃべってにぎやかしてる。