Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
自分はすぐに奈々子を引き取った。引き取りながらも、医者は何といった。坂部はいたかといえば、坂部は家にいてすぐくるといいましたと返事したのはだれだかわからなかった。
水にぬれた紙のごとく、とんと手ごたえがなく、頸も手も腰にも足にも、いささかだも力というものはない。父は冷えたわが子を素肌に押し当て、聞き覚えのおぼつかなき人工呼吸を必死と試みた。少しもしるしはない。見込みのあるものやら無いものやら、ただわくわくするのみである。こういううち、医者はどうして来ないかと叫ぶ。あおむけに寝かして心臓音を聞いてみた。素人ながらも、何ら生ある音を聞き得ない。水を吐いたかと聞けば、吐かないという。しかし腹に水のあるようすもない。どうする詮も知らずに着物をあたためてはあてがい、あたためてはあてがってるのみ、家じゅう皆立って手にすることがなくうろうろしてる。妻は叫ぶ、坂部さんがいなければ木下さんへゆけってこかねい。坂部さんはどうしたんだろうねい。坂部さんへまた見にゆきましたというものがあった。妻は上げた時すぐに奈あちゃんやって呼んだら、どうも返事をしたようであったがねい。