Japanische Klassiker mit Furigana
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はまぎく
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (はまぎく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.907 Zeichen · 29 Bildschirme
向上心の弱い人は、生命を何物よりも重んずることになる。生命を極端に重んずるから、死の悲哀が極度に己れを苦しめる。だから向上心の弱い人には幸福はないということになる。宗教の問題も解決はそこに帰するのであろう、朝に道を聞いて夕べに死すとも可なりとは、よく其精神を説明して居るではないか。
岡村は欠びを噛みしめて、いや有がとう、よく解った。お繁さんは兄の冷然たる顔色に落胆した風で、兄さんは結婚してからもう駄目よと叫んだ。岡村は何に生意気なことをと目に角立てる。予は突然大笑して其いざこざを消した。そうして話を他へ転じた。お繁さんは本意なさそうにもう帰りましょうと云い出して帰る。予はお繁さんと岡村とあべこべなら面白いがな、惜しい事じゃと考えたのであった。
予は寝られないままに、当時の記憶を一々頭から呼び起して考える。其を思うとお繁さんの居ない今日、岡村に薄遇されたのに少しも無理はない。予も腹のどん底を白状すると、お繁さんから今年一月の年賀状の次手に、今年の夏も是非柏崎へお越しを願いたい。今一度お目に掛って信仰上のお話など伺いたく云々とあったに動かされてきたと云ってもよい位だ。