Japanische Klassiker mit Furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.105 Zeichen · 61 Bildschirme
かれらは父をさしおき先を争うて庭へまわった。なくなられたその日までも庭の掃除はしたという老父がいなくなってまだ十月にもならないのに、もうこのとおり家のまわりが汚なくなったかしらなどと、考えながら、予も庭へまわる。
「まあ出しぬけに、どこかへでも来たのかい。まあどうしようか、すまないけど少し待って下さいよ。この桑をやってしまうから」
「いや別にどこへ来たというのでもないです。お祖父さんの墓参をかねて、九十九里へいってみようと思って……」
「ああそうかい、なるほどそういえばだれかからそんな噂を聞いたっけ」
手拭を頭に巻きつけ筒袖姿の、顔はしわだらけに手もやせ細ってる姉は、無い力を出して、ざくりざくり桑を大切りに切ってる。薄暗い蚕棚の側で、なつかしい人なだけあわれはわけても深い。表半分雨戸をしめ家の中は乱雑、座を占める席もないほどである。
「秋蚕ですか、たくさん飼ったんですか」
「あァに少しばかりさ。こんなに年をとっててよせばよかったに、隣でも向こうでもやるというもんだから、つい欲が出てね。あたってみたところがいくらにもなりゃしないが、それでもいくらか楽しみになるから……」