Japanische Klassiker mit Furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.105 Zeichen · 61 Bildschirme
……きょうはまたなんというえい日だろうか。子どもたちがあァして庭に騒いで遊んでると、ようよう人間の家らしい気分がする。お前はほんとに楽しみだろうね。あんなかわいいのをふたりもつれて遊びあるいてさ」
「いや姉さんふたりきりならえいがね、六人も七人もときては、楽しみも楽しみだが、厄介も厄介ですぜ」
姉はそんな言には耳もかさず、つくづくと子どもたちの駆けまわるのに見入って、
「子どもってまァほんとにかわいいものね、子どものうれしがって遊ぶのを見てるときばかり、所帯の苦労もわが身の老いぼけたのも、まったく忘れてしまうから、なんでも子どものあるのがいちばんからだの薬になると思うよ。けっして厄介だなどと思うもんでない」
「まったく姉さんのいうことがほんとうです、そりゃそうと孫はどうしました」
「あァ秋蚕が終えると帰ってくるつもり。こりゃまァ話ばかりしててもどもなんね。お前まァ着物でも脱いだいよ。お……婆やも帰った、家でも帰ったようだ」
いずれ話はしみじみとしてさすがに、親身の情である。蚕棚の側から、どしんどしん足音さしつつ、兄も出てきた。臍も見えるばかりに前も合わない着物で、布袋然たる無恰好な人が改まってていねいな挨拶ははなはだ滑稽でおかしい。