Japanische Klassiker mit Furigana
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のはぎ
野萩
久生 十蘭
Lesen Sie 野萩 (のはぎ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.480 Zeichen · 21 Bildschirme
杜松は檐の蔭になった濡縁の近くに浅く坐って庭を見ていたが、滋子のほうへふりかえって、
「この花は、萩でしょうか」
と、しずかにたずねた。滋子はそばへ立って行って、
「あれが山萩、むこうのは豆萩……野萩……あちらが千代萩。でも、あれは四月でなくては、咲きませんのよ」
杜松は顔をかしげるようにして、萩の花々をながめながら、
「花も、サンパチックな、いい花ですけど、葉も、いやしい葉ではありませんのね」
といった。滋子は思わず笑いだして、
「萩の葉をほめたのは、あなたがはじめてかも知れないわ。そういえば、フランスには、萩はなかったようでしたね」
「レスペデーズって、いくらか似たのがありますけど、まるっきり、べつなものですわ」
そういうと、流れるように瞳をよせて
「日本にだけあって、フランスにない花を見たくなると、息苦しくて、どうしていいかわからなくなるの……いぜん、母と二人で、土筆を摘みに、エトルタへまいりましたわ」
「フランスでは、土筆のことを、鼠の尻尾というんでしょう」
「あたしたちが土筆を摘んでいると、村の人が通りかかって、この国には、食えるようなものがないからなァ、なんてからかって行きますのよ」