Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
ハナは、すっと立ちあがると、ものも言わずに出て行ってしまった。乾はそのほうをチラリと見送ってから、葵のそばへすり寄るようにして、
「ちょっといないたって、そんなにしょげるテはないでしょう。……どうも、濃情極まれりですな。身体に毒ですぜ。……愛妻に気をもませてさ、久我さんもよくないよ。……いったいどこへ行ったんだろう」
そして、へ、へ、へ、と人を喰った笑いかたをした。なにもかにも、すっかり察してしまったらしい口吻だった。
「……ひとの知らない苦労てえのは、だれにもあるもんだねえ、ここの開業のとき、あたしはだいぶ古家具を周旋したんだがねえ、どうしても金をよこさない。こんな……てあいにかかったら、まったく手も足も出やしない。……じっさい、泣かせますよ」
慰めるつもりなのか、額を叩きながら、とめ途もなく、べらべらと喋言りつづけた。
電話室でベルが鳴った。葵は本能的に立ちあがって受話器をとった。果して久我だった。きょうの午後、那須たちと新宿の〈磯なれ〉で逢うことになったから、晩飯にはすこし遅れるかも知れないという電話だった。
葵は出来るだけ快活な口調で、
「え、わかってよ。