Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
「ねえ、葵さん、あんた困っているんでしょう。……あたいによく判るのよ。あんたたちこの二三日なにも喰べていないのね」
どうしてそんなことがわかるのか。葵はおどろいて眼をあげた。ハナは大袈裟なためいきをついて、
「……苦しむのはいいけれど、すこし悲壮ね。どうしようとそれはあんたの勝手でしょうが、なんにしても、感情だけで生活しようというのは、すこし贅沢すぎやしないかしら。……あんたひとりなら、どんな甘えかたをしてもいいでしょうし、生きてる気がないんならそれでも結構。……でも、どうしても生きて行こうというんなら、もっと切実な考え方をなさい。感情だの、道徳だの、習慣だの……そんな甘いことじゃだめ。……悲壮なら悲壮でいいから、もうすこし徹底させて見たらどう? ……(葵の顔をのぞきこむようにして)ねえ葵さん、あんたお客をとって見ない? ……そうよ、もちろんあいつらはけだものよ。否、けだものどころか、現象にすぎないのよ。……俄雨にあってずぶ濡れになったって、それがあたいたちの罪でないように、あいつらが非人間であればあるほど、どんな接触の仕方をしたって罪でも穢れでもない。