Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
もう一人は菜葉服を着た赧ら顔の頑丈な男で、番台に凭れかかると、そこからじろじろとしつっこく三人を眺め、それから、
「オイ、鶴さん、米酒」
と、酒棚のほうへ顎をしゃくった。
このほうは、どうやらここの常連らしい。発動機船の機関士か造船所の旋盤工というところ。チャップリン髭をはやしているのが異彩をはなつ。
手の甲で唇を拭うと、妙にきこえよがしに、
「おう、今朝だれか俺をたずねて来なかったかよ、鶴さん……」
と、男にきいた。男は頭をふった。(この問答をきくと、三人の客は一斉にちょっと身動きしたようであった)
菜葉服は、ふうん、といくども首をかしげてから、こんどは低い声で、
「……じゃなあ、俺はまたちょっと機械場へ行ってくるからよ、古田……古田子之作ってたずねて来たやつがあったら、子之はじきまたここへ戻ってくると言ってくんなヨ。……おい、頼んだぜ、鶴さん。すぐ戻ってくるってナ、いいか」
くどく念をおすと、バットに火をつけながら出ていった。
酒鼻はそのあとを見送りながら、思い出したように時計をひきだして眺め、おや、十一時か……と、つぶやく。すると二十日鼠はつぶっていた眼を急にパッチリとあけて、