Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
……あっしゃ、すらっとした後ろ姿を拝見しただけだったが、連中の話じゃ、二十三四のモダン・ガールで、こいつがどうもやけにいい女だったそうでさア。……なんでも洲崎のバアの女給だってえこったが、いってえどういうんだろうねえ、その女……」
この時、また扉があいて、すらりと背の高い、二十二三の娘がはいってきた。
蓮色の服に、黒いフェルトの帽子をかぶった、明るい顔つきの、いかにも美しい娘だった。酒場のなかを見まわすと、青年のとなりの椅子にぎこちなく掛けて、ものおじしたようにうつむいてしまった。
ポート・ワインを酌いで、また番台へ戻って来ると、男は新聞をとりあげて、
「おや、また人殺しだ」と、とってつけたように言った。
「……えー、薪割りようのものにて、……滅多打ちにしたものらしく、六畳の血の海の中で、……よく流行るねえ、このごろは。……こないだも野銭場の砂利仲仕が、小名木川の富士紡の前で、どてっぱらを割られて倒れていたが、……どうもひでえもんだねえ、大腸をすっかりひろげちゃって、……苦しいのか、せつねえのか、そいつを自分の両手で、手繰りだすようにして死んでいるんでさ。