Japanische Klassiker mit Furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Lesen Sie 金狼 (きんろう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.438 Zeichen · 179 Bildschirme
おれの知ったこっちゃありゃしまいし。……おれが云わなくたって時がくればわかる。……いわゆる、……天網恢々、さ」
乾はなにかしばらく考えこんでいたが、やがて、勢いこんで、
「しかし、こんな風にも考えられるねえ。……あの晩、葵の部屋にもひとり女がいて、出て行ったのは葵でなくて、そいつ……」
西貝がふきだした。
「おい、乾老……評判どおり君は葵に惚れてるんだな。……なるほど、君のブラック・リストから葵の名が消えてるわけだ。……するてえと、あとに残ったのはだれだれだね? (妙に探ぐるような眼つきをして)久我、……古田……」
乾がぽつりと口をはさんだ。
「それから、あなた」
西貝の膝がピクリと動いた。急に顔色を変えると怒鳴るようにいった。
「おれ? 冗談いうな」
乾はおちつきはらって、
「いや、大いに理由があるんですよ。(西貝の眼を見つめながら)西貝さん、あの晩の午前二時頃あんたどこにいました?」
……返事がなかった。
「午前二時ごろ〈那覇〉の、……いやさ越中島であんたを見かけたってやつがあるんだがねえ。……いったい、あの辺にどんな用があったんです」
6
葵はホテルの窓ぎわに坐って、落着かない心で空を眺めていた。