Japanische Klassiker mit Furigana
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こんじきのし
金色の死
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 金色の死 (こんじきのし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.997 Zeichen · 46 Bildschirme
然るに岡村君はあまり数学が出来ないので、入学試験にとうとう失敗して了いました。尤も、地方の高等学校なら這入れたのかも知れませんが、彼は東京の地を一寸も離れるのが嫌だと云って、甘んじて落第して了ったのです。
「何も急ぐ事はないのだから、来年亦試験を受ける。今年一年は死んだ気になって少うし数学を勉強しよう。」
彼はこう云ってさ程落胆した気色もなく、その後当分毎日二三時間ずつ、幾何や代数を練習して居る様子でした。
「君なんぞは一層西洋へ留学に行ったらいゝじゃないか。」私がこんな忠告をすると、「そりゃ行きたい事は非常に行きたいんだが、どうしても伯父が許してくれない。伯父の生きて居る間はまあ駄目だろう。」
と云って居ました。
厳重な中学の校則に縛られて居てさえ、人並外れた贅沢をする岡村君の事ですから、学校生活から関係を絶った一年間の彼の風采や態度と云うものは、殆ど華美の極点に達して、素晴らしい変化を来しました。今迄和服と云うものをあまり好まなかった彼は、俄に派手な縞柄の羽織や着物を沢山に拵えて、それを代る代る着て歩くようになりました。
「一体現代の日本の男子の服装は地味過ぎて居る。